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2008年9月29日(月) 耳で感じる芸術・古家
初のオペラ鑑賞は小さな教会にて(左)。
サンマルコ広場ではあちこちのカフェで生演奏の競演が(右)。

「オペラはとても退屈に感じるか、すごくはまるかのどちらかだよ」。
映画『プリティーウーマン』で実業家のルイス(リチャード・ギア)が
コールガールのビビアン(ジュリア・ロバーツ)に言った言葉です。
華やかにドレスアップして向かった初めてのオペラ鑑賞に、
自分には縁のない世界、退屈するのではないかと危惧するビビアンですが
ぐいぐいとストーリーに引き込まれ、ラストシーンでは感動の涙を流します。
そのシーンが印象的で、私はどっち!?退屈しちゃう?それとも感動?・・・

ベニスのホテルで見つけたオペラやクラシックコンサートのパンフレット。
予約なし、ドレスコードなしの気軽な演奏会、
料金も25〜35ユーロ(4,000〜5,600円)です。
上演されたのは、うれしい偶然!
ビビアンが観たのと同じ『椿姫』(原題・La Traviata)でした。

まず驚いたのは、バイオリンなど楽器の演奏がとてもロマンティックで
こんなに情感あふれるオーケストラ(といっても5人ほど)は初めて。
そして歌声は、ホントにこれが人の声? まるで楽器の音色のよう。
『椿姫』ですが、大輪のぽってりとしたオールドローズが頭に浮かび、
花瓶にたっぷりと花をアレンジしたくなりました。
素晴らしい音楽は創作意欲をかき立てます。

外に出て、サンマルコ広場を歩くと広場を囲んだあちらこちらのカフェで
生演奏が行われています。
ゆったりと椅子に腰を掛け、飲み物を片手に楽しむ人もいれば、
通りすがりに立ち止まって耳を傾ける人の群れも。
そのときに聴いたクラリネット、
上下左右に激しくクラリネットを振り動かしながらの演奏。
クラリネットって、静かに下を向いて演奏するものだと思っていたし
クラリネットって、こんな音だった? っていうくらい、情感たっぷりの音色。

朝、昼、夜と時を告げる教会の鐘の音色にも哀愁があふれ、
その音を聴くたびに、胸が締め付けられるような想い。。。

今思い出しても、なんて贅沢な時間と空間だったんだろうって思います。

yoshimi furuya